戦時中の台湾 祖祖母 – 自分の頭でよく考える
友人数名に貸していた、山脇道子著の『バウハウスと茶の湯』が手元に戻ってきたので、再度読み直しました。
以前ブログにあげた 紹介記事 とは異なった内容で戦時中の、私の祖祖母(母方)の話を織り交ぜ、非常に印象深かったページを紹介したいと思います。
今だからこそシェアしたいという思いで書いております。
ドイツ・バウハウス留学を終えた山脇夫妻が、日本に帰国したのが1932年末。
興味深いのが、1941年(昭和16年)に日本が英米に宣戦布告しているので、9年前から国民に対する情報操作が行われていたのがわかります。
また、前兆なくして戦争(ジェノサイドも含め)は起きないのではないかと最近、特に感じます。
画像の文字は読み難いと思うので、引用して書いております。以下。
帰国後の活動
一九三二年末に日本に戻ると、しばらく実家に落ち着きました、二、三日後には、どこからお聞きになったのか、新聞社の方が取材に見えたので、バウハウスの体験やその合理的な考え方をお話しました。余談として、ドイツではボタンをたくさん付けた婦人服が流行していたというと、記事の題が「山脇巌氏夫婦土産話/満州事変が流行に影響 ドイツでは軍服を真似る」(「報知新聞」一九三二年一二月一九日)となってしまい、がっかりしました。
事実を捏造していますよね。
私はこのページを読んだ時、叔母から聞いた祖祖母の話を思い出したのでした。母方の家族は戦時中、台湾で会社経営をしてたそうです。住み込みのお手伝いさんもいて、大変裕福だったそうです。
しかし、だんだんと戦争の雲行きが怪しくなってきた頃、日本はもしかして負けるのではないか?と周囲はヒソヒソ話し始めたそうです。(※ もちろん表立ってではございません!)
親しい数人から、資産を早めに分散させた方が良い。土地を含めた全ての資産を台湾で持っているのは非常に危険だから、どうにかした方が良いと忠告を受けたそうです。
しかし、祖祖母は「超・軍国主義に洗脳された典型的な女性」でした。彼女はアドバイスをしにきた知人・友人に対して、猛烈に怒り、吐き捨てた言葉が
この非国民が!負けるわけないじゃろう。新聞を読んどらんのんか!ラジオを聴いとらんのんか!
当時、彼女だけではなかったと思いますが、戦争の状況をラジオ放送と新聞で発表ている情報(大本営発表)を鵜呑みにしていたのです。情勢を感じ取ったり、自分の頭で考える事は一切なしに…
大本営発表は当初は事実の情報を流していて、途中から事実とは反対の偽情報になったとありますが、開戦時から嘘情報ばかり国民に流していた… という声もあります。
祖祖母の話に戻りますが、終戦後は全財産没収。引き揚げ船で帰国。亡くなるまで暮らしは貧しく、それまでの生活レベルの差もあって、ストレスからか、祖祖母は更に我の強いイヤな性格になったそうです。
この話は親戚や家族一同、語り継いでいます。
教訓として
自分の頭で考える事。
メディアの情報を鵜呑みにしない事。
約3年前くらいから、私は日本の右傾化が気になっていました。
去年、日刊ゲンダイにインタビュー記事が掲載され、ご存知の方も多いかと思います。もし、まだ読まれていない方がいらしたらぜひ、読んでみてください。
東大名誉教授・石田雄氏 「戦争に向かった戦前と似ている」
――政府は集団的自衛権の行使についても、限定的であって、戦争する国になるわけじゃないと主張しています。
海外の邦人を保護するため、と言っていますね。この理屈も戦前と似ています。1932年の第1次上海事変の直前、日本人の僧侶数人が殺傷される事件が起こった。日本政府は邦人の生命を守るという名目で、上海の兵力を増強し、戦闘が拡大。その後、本格的な日中戦争になりました。個別的自衛権であれば、「日本の領土内に攻め込まれたとき」という歯止めがかかりますが、邦人保護という名目で海外に出ていけば、歯止めがなくなってしまうのです。
下記は NPJ(News for the People in Japan)へ寄稿されている記事です。
石田雄 ― 軍隊体験者が次の世代に遺したいこと
■思想言論の自由への制限
まず似ている点から見てみよう。ひとつは特定秘密保護法の実施に伴って、言論・思想の自由が脅かされようとしている問題だ。私が生まれて2年後の1925年に普通選挙法と抱き合わせで治安維持法が制定された。「国体を変革」する組織を禁止するという名目で、最初は共産主義者が取り締まりの対象となった。しかし、「危険思想」を持っているという疑いによって、取り締まりの対象はどんどん広がった。出版法なども加わって、取り締まる相手は共産主義者だけではなく、共産主義に反対していた自由主義者も軍国化に反対するというので逮捕、処罰されるようになった。こうなると、軍国主義化の流れを止めることは不可能になった。
自分の人生を国や政府にあずけてはいけないのです。
考える事を放棄してはいけないのです。
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